サブタイトルに「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む本」とあるように、まさしく僕はそう思っていたのでこの本を手にしました。
感想を簡潔にまとめると
✅ある程度スキルや経験がある人にとってはわかりやすい。
✅逆に経験やスキルが無い人には難しい。
✅この本を読んだからといって転職先ややりたいことが明確になるわけではない。
✅転職を迷っている人は背中を押してもらえる。
✅仕事に対する姿勢を教えてくれる。
といった感じです!
この本を読む人が大企業で務めている人か、バリバリの営業マンか、僕のように田舎の介護施設で働いているかで読み方は全然変わってくると思います。
この記事では30歳・介護職の男性目線での転職の思考法の感想をお届けします。
あらすじ
特別な専門性も他者を圧倒するスキルもない30歳営業職の主人公・青野が転職コンサルタントの黒岩と出会い、正しい転職をするための「転職の思考法」を伝授してもらう話。
伸びる市場の見つけ方や転職エージェントの利用の仕方・面接で尋ねるべき質問・転職するメリットや仕事に対する考え方など、ストーリー仕立てでわかりやすく解説してくれている。
市場価値?そんなもんねーよ!
転職で大事なのは”市場価値”であり、会社の社員ではなく一個人としてどれだけ価値のある人材であるかという話が出てきます。
その上で「自分の市場価値を測るための9の質問」なるものが登場します。
・会社を変えても、価値のあるスキルをどれだけ持っているか?
・そのスキルの「賞味期限」はいつまでか?
・他の会社でも通用する「レアな体験」がどれだけあるか?
………
などなど。
わかりますわかります。
どこの会社に転職しても役に立つ「スキル」や「経験」。
それがどれだけあるかによってその人の市場価値、「マーケットバリュー」が決まるわけですね。
この話は非常にわかりやすいのですが………
そんなもんねーよ!!
スキル?経験?
毎日毎日利用者さんをお風呂に入れたりお尻を拭いたりするだけの俺にそんなもんはねぇよぉぉぉぉぉ!!
こちとら「マーケットバリュー」より「世界バリバリバリュー」の方が興味あんだよぉぉぉぉぉ!!!!
……すみません。
取り乱してしまいました。
これは本の内容に怒っているのではなくスキルも経験もない自分自身に怒っているのです。あしからず。
社長のお尻でも拭きましょうか?
さて、マーケットバリューについて学んだ後は、どういう会社に転職すべきかです。
結論は
「伸びる業界で働け」です。
いや、そんなことはわかってるんだよって感じですよね?
僕もそれくらいはわかっていました。
もちろんそれだけではなく、実際にどんなマーケットが伸びるのか・伸びるベンチャーの見つけ方なども紹介してくれています。
例えば
伸びるベンチャーを見つける二つの方法
①複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目する
②既存業界の非効率を突くロジックに着目する
いいベンチャーを見極める三つのポイント
・競合はどこか?そして、競合「も」伸びているか?
・現場のメンバーは優秀か?
・同業他社からの評判は悪くないか?
など。
この辺は営業マンだったりオフィス街で働いている人だったらとてもわかりやすく、参考になる話だと思います。
しかし先述の通り、スキルも経験もない僕はその会社を見つけたとして面接で何をアピールすればいいのでしょう??
「お尻を拭くのは得意です!!」
とか言えばいいんですかね??
転職エージェントを正しく使おう!友人に頼ろう!
転職コンサルタントの黒岩は日本の転職事情に強い問題意識を持っていて、転職エージェントと人材会社を目の敵にしています。
その理由は
転職エージェントは企業に人材を紹介することでお金がもらえる
↓
できるだけ時間をかけずに求職者に就職してほしい
↓
求職者に本当の意味で寄り添っているわけではない
という構造が本質にあるからということです。
これはすごく納得できますね。
人材会社やエージェントにしてみれば求職者に仕事を斡旋するのが仕事なわけで、入った会社がどんな会社かは関係がないわけです。
しかし、そんな売り上げ至上主義のエージェントばかりではありません。
中には親身になって相談に乗ってくれる良い転職エージェントもあるでしょう。
良いエージェントの見極め方として
・どこがよかったか、入社するうえでの懸念点はどこかをフィードバックしてくれる
・「他にいい求人はないですか?」という質問に粘り強く付き合ってくれる
など、良いエージェントの五箇条を挙げています。
そして、転職エージェントだけでなく友人の紹介や直接応募という選択肢を取り入れることで転職の幅が広がるとも書かれています。
そうですねー。
正直、友人の紹介が一番安心できますよね。
誇張のない生の声が直接聞けるわけですからね。
メリットもデメリットも包みなく教えてくれるでしょうし、こちらも他人には聞きにくいことも質問することができます。
ただもちろん会社が求人をかけているのか・自分のやりたいこととマッチしているのか・そもそも企業が採用してくれるのかという問題はあります。
それに仕事を紹介してくれるような友人ってそんなにいないんですよね……。
いても2~3人くらい。
転職サイトやエージェントで求人を探しつつ、友人にも声をかけてみるというのが最善の策でしょうか。
「やりたい仕事」はなくていい
一番最後の第4章に、心から納得のいく仕事を見つけるために必要なことが書かれているのですが、この章が一番心に響きました。
まとめると
✅多くの人は仕事にやりがいはなく、お金に買われている。
✅世の中の99%の人間は「何がしたいか」ではなく、「どんな人でありたいか」「どんな環境にいたいか」を大事にしている。
✅だから「心からやりたいこと」ではなく「ある程度やりたいこと」を見つければいい。
僕は今まで本当にやりたいことが見つからず、そんな自分に劣等感を覚えることもありました。
しかし僕はどんな人・環境でありたいかを大事にしている、「being型の人間」なので、どうしてもやりたいことはみつからなくてもいいのです。
そしてそんなbeing型の人間が好きなことを見つける方法が
①他の人から上手だと言われるが「自分ではピンとこないもの」から探す方法
②普段の仕事の中で「まったくストレスを感じないこと」から探す方法
だそうです。
①の自分でピンとこないものだったらいくら自分で考えたってわかるはずないですよね。
他人の方が客観的な目線で自分のことを見てくれているので、家族や友人に聞いてみるのはいいかもしれませんね。
②に関してはいまいちわからないんですよね……。
何だろう…。ストレス感じることならいっぱいあるけど。
僕の場合はストレスを感じないことを見つける経験が足りないのかもしれません。
ともかく、やりたいことを無理に探す必要はないってのは目から鱗でした。
そもそもやりたいことあるなら既にやってますしね。
まとめ:レベルの上がらないゲームはつまらない
この本で繰り返し書かれているのは「個人で生きていくスキルを身につけろ」「自分の市場価値を高めろ」です。
企業や会社で成績をつけられて人と比較されるのがイヤだった僕は、簡単な仕事ばかりを選んできました。
いや、簡単な仕事という表現は語弊があるかもしれません。
ただ少なくとも、僕の職場では個人に成績がつけられるわけでもなく、上司の評価を気にする必要はありません。
言われたことだけをやっていれば誰かに怒られることもなく、時間が経てば淡々と仕事は終わっていきます。
そんな毎日にとっくの昔に飽きていました。
RPGゲームで言えば、最初の町から一歩も動かずに同じところでぐるぐると歩き回っているだけです。
その町にいれば強い敵も出てこないし危険な目にも逢いません。
ゲームを楽しむには、倒せるか倒せないかわからない敵と対峙したり、新たなイベントと向き合うことです。
仕事もそれと同じで、自分のレベルを上げて少し難易度の高いステージに少しづつ進んでいく。
そんな思考が僕の今までの人生には足りませんでした。
僕は仕事が楽しくないから、人生を充実させるためにブログを始めました。
元から仕事は楽しくないものだと決めつけていたからです。
仕事以外に楽しみを見出そうとしたのです。
それは間違いではないと思います。
しかし、仕事を楽しむということができれば人生はもっと楽しくなる。
今ではそう思っています。
この本を読む前の僕はなんとなく
「転職したいな~」
くらいに考えていましたが、読み終えてからは
「絶対転職する!」
と心に誓っています。
僕と同じような境遇で悩んでいる人はきっと多いのではないかと思います。
この記事では紹介しきれなかったことはまだまだあります。
この本はきっとあなたの背中を押してくれると思います。
最後にこの言葉を引用します。
・転職を阻害するのは、現実的な危険性ではなく、ほとんどが見栄か恐怖
・選択が失敗するかどうかは、あくまで事後的にしかわからない。だからこそ、失敗につながる唯一の条件は「覚悟を決めるべきときに覚悟を決められないこと」
・転職が当たり前になれば、選択肢を手に入れた「個人」はより自由になり、社員を惹きつけようとする「会社」は、より魅力的になる