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【小説】アイネクライネナハトムジークの感想!【ネタばれなし!】

少し古い作品ですが、伊坂幸太郎さんのアイネクライネナハトムジークを読みました。

 

これまで伊坂幸太郎作品を20冊以上読んだ伊坂ファンの僕が読み終えて思うことは、

 

「これぞ伊坂幸太郎!

ってことです。

 

ジグソーパズルを完成させた後のような達成感新たな友人や素敵な異性と出会った時の幸福感、そんな感情を与えてくれる一冊です!

 

過去の伊坂作品に出てくる突飛な設定や恐ろしい犯人などが出てこないので従来の伊坂作品が苦手な人でも楽しめる小説だと思います!

 

 

伊坂幸太郎と僕

伊坂作品と初めて出会ったのはいつだったか正確には覚えていません。

最初に読んだのは「アヒルと鴨のコインロッカー」だったと思います。

なんかオシャレな友人がおススメしてたし、タイトルもなんとなくオシャレだったので読みました。

 

それ以来伊坂作品にハマって大学時代に読み漁りました。友人に借りたり古本屋で買ったりしていたので時系列はバラバラでした。

「魔王」と出会った時は

「あ!これサンデーでやってた漫画のやつじゃん!」

と衝撃を受けました。

 

おもしろいと思っていた漫画が伊坂幸太郎原作だったと知り、

「やっぱりやるなあ伊坂幸太郎は」

となぜか誇らしげな気持ちにもなりました。

 

あ、なので正確には初めて出会った伊坂作品は魔王ということになりますね。

 

僕が大学生の当時って若手の小説家ってあまりいなくて(僕が知らなかっただけだと思いますが)周りの友人もけっこう伊坂作品を読んでいたんですよね。

友達と小説について語り合うこともよくありました。

それだけ若者に作風がマッチしていたんでしょうね。

 

 

しかし、そんな僕も社会人になりほとんど本を読まなくなってしまいました。

5~6年前のある時、久しぶりに伊坂作品を読もうと思って「あるキング」を読みました。

 

正直、思っていたのと違ったというか僕が伊坂作品に求めていたものとは少し違ったんですよね。

「伊坂幸太郎も作風が変わってしまったんだなぁ……」

と少しショックを受け、それ以来伊坂作品からは離れてしまいました。

(今読めばまた違う感情を抱くと思いますが、あくまで当時の気持ちです。)

 

タイトルに惹かれたアイネクライネ

そんな理由で伊坂作品から離れていた僕ですが、久しぶりに小説を読みたいなと思いTSUTAYAに行きました。又吉直樹や湊かなえなど読みたい本もあったのですがやはり目がいってしまう伊坂幸太郎。

 

どうせ読むなら新作を、と思っていたのですがそこに置いてあったのが「アイネクライネナハトムジーク」。

 

正直ね、これはもうタイトル勝ちなんですよ。

由来はもちろんモーツァルトの作った小夜曲ですが、曲のタイトルこそ知らなくてもこの曲を知らない、聞いたことがないって人はまずいないでしょ。

 

そして若者に馴染みがあるのはモーツァルトより米津玄師の「アイネクライネ」ではないでしょうか。

あれも名曲ですよねー。

僕はあの曲で米津玄師を知りましたし今でも彼の曲の中で一番好きです。

 

しかも本の帯に

”出会いがない”というすべての人へ

10年の時を越えてつながる恋と出会いの物語

 

とか書いてあるんですよ!!

めっちゃ良さそうじゃないですか!?

気づいた時にはTSUTAYAの自動レジに並んでいました。

 

死神がいない「死神の精度」

伊坂作品の特徴として、過去と現在を交互に行き来した物語や、短編の中の登場人物が他の短編では主人公になっていたりということがよくあります。

僕が伊坂作品を愛している理由はまさにそういった技法や独特な言い回しなんですよね。

 

アイネクライネ~を読み終えた時、上記の特徴がふんだんに施されていて懐かしい気分になると同時に、以前の伊坂作品とは違うなと感じるところもありました。

 

それは、言ってしまえばこの物語は、何も起きないんです。

 

あとがきにも作者本人が書いてましたが、伊坂作品には珍しく泥棒・強盗・殺し屋・超能力・奇妙な設定が出てこないのです。(確かに過去の作品にはほとんどこれらが登場してましたw)

 

故に過去の伊坂作品を知っている僕からすれば、

「え?このまま(何も起きないまま)終わっていいの?

と思う反面、それは裏を返せば

「このまま(何事もないまま)終わってくれ~!」

ということなんです。

 

そんな読者の淡い願いを「今回だけだぞ。」と特別に伊坂さんが叶えてくれたような、そんな優しさがつまったような作品です。

 

あとがきを読めば、伊坂さんがどうして従来の作品と違ったいわゆる「恋愛もの」を書くことになったのかがわかるのですが、それはここでは伏せておきますね。

なんにせよ伊坂さんにとっては新しい試みであったようです。

 

確かに「こんな小説は以前の伊坂作品にはなかったなー」と思ったその時、ふと一冊の小説を思い出しました。

それが「死神の精度」です。

 

これは7日間の調査の後に対象者の死を見定める死神とその周囲をとりまく物語で伊坂太郎が好きな人は読んだことがあると思います。

まさに前述した通りの”奇妙な設定”ですね。

 

死神の精度では、どんなに良い人でもどんなにほっこりするエピソードでも、死神の調査の対象である以上そこには”死”がつきまとうんですよね。

その中にも男女の出会いがあったり時を越えた邂逅があったりと面白い作品なのですが、どうしても「この人も死んじゃうんだよな……」と考えてしまいます。

 

そんな悲しい思いを一切したくない人にはぜひこのアイネクライネ~をおススメします!

死神の精度を読んだことがある人にわかりやすく伝えるならこの小説は

”死神が出てこない死神の精度”です!

 

 まとめ

「”出会いがない”というすべての人へ」という謳い文句を銘打ってるだけあって、この本の登場人物たちはみんな素敵な出会いをしているのですが、もちろんこの本を読んだだけで出会いが訪れるわけではありません。

 

全ては行動です!

いや、そんな小説みたいな出会いないよーと思うかも知れませんが事実は小説よりも奇なりです!

 

米津玄師

モーツァルト

斉藤和義

トイストーリー

ボクシング

が好きな方はぜひ読んでみてください。

 

最後にこれだけは言わせてください。

 

この小説、登場人物全員コミュ力高すぎーーー!!!!

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

 

 

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